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Honda/HRC※陣営は2024年に、GT500車両のベースを従来の2代目NSXからCIVICTYPERに切り替えた。Hondaにとって10年ぶりの新車投入とあって、CIVICTYPER-GTの熟成は遅れた。というのも2座席スポーツカーでダウンフォースが大きいが空気抵抗も大きいNSXに対し、CIVICTYPERは後席も備えた乗用車タイプであり、空気抵抗は少ないがダウンフォースも少なめと、逆の空力特性であったからだ。また2024年にはGT500車両の最低車高が引き上げられた点も、大きく影響を及ぼした。ライバル車が過去のデータと比較しながら開発を煮詰められたのに対し、まったくの新車であるCIVICTYPER-GTには基準となるデータがなく、その特性と規定改定の影響を見分けにくかったうえ、シーズン後半は悪天候で走り込めず、車両の熟成に時間が必要だった。結果、昨年は開幕戦岡山から4連続表彰台に上がり第4戦では8号車が初優勝を挙げるも、最終的にはタイトルに届かなかった。2025シーズンのGT500車両は基本的に開発が凍結となり、すべての車両はほぼ昨年と同じ状態で開幕戦岡山に現れる。だが昨年本来の力量を出し切れなかったCIVICTYPER-GTにとっては、1年間蓄積したデータを基に本領を発揮しライバル車との差を一気に縮めるチャンスとなるだろう。※HRC:これまで2輪4輪それぞれで行っていたHondaのレース活動を、現在はHonda傘下のモータースポーツ専門会社のホンダ・レーシング(HRC)に統合している。HondaCIVICTYPER-GTDriverImpressionCIVICTYPER-GT昨年デビューの新GT500車両CIVICTYPERその本領発揮は2年目の開幕戦岡山から始まる車両スペックはレギュレーション・ダイジェスト(P.77)にてクラス共通を掲載。FRONTSIDEREAR「1号車が手強そうだが、当然負けるわけにはいかない」山本尚貴No.100STANLEYCIVICTYPER-GT2024年開幕戦岡山:決勝3位/予選3位(共にCIVICTYPER-GT最高位)本来なら岡山の公式テストで自分たちや周りとの位置関係などを確認したかったのですが、天候に恵まれず正確に捉えられませんでした。その中でも1号車(GRSupra)が手強そうな雰囲気は感じましたし、彼らに勝つのは大変そうですが、当然負けるわけにはいきません。僕たちもセパンテストでは調子が良かったですし、何とかしたいなと思っています。開幕戦で勝てるようにがんばります。でも仮にそれが達成できなかったとしても悲観せずに、シーズンのどこかで必ず勝って、最終的にチャンピオン争いに残っているようにしていきたいです。搭載エンジン型式HondaHR420E29